小さなひび割れ(ヘアークラック)は放置してもかまわない?

新築でもひび割れには要注意!

ヘアークラック

「私のアパートは自転車置き場が狭く、息子が壁に傷を付けてしまいました。小さなひび程度なのですが、仲介会社に報告すると弁償金などが高額になるのでしょうか」という質問をいただきました。

実はひびには様々な種類があります。国土交通省の定めでは0.3mm以下のひびをヘアークラック、0.3mmを超える大きなひびは構造クラックと呼んでいます。0.3mmを超えるひびは表面を貫通して構造材に影響を与えることから構造クラックと呼ばれており、本格的な補修が必要になります。
自転車をぶつけた程度であればヘアークラックでしょう。ヘアークラックであればコーキング剤や補修剤で修理できますので、費用はそんなにかかりません。

コーヒーをテーブルにこぼしてティッシュで拭いた経験が誰でもあると思いますが、ティッシュにコーヒーが染みて上ってきますね。これを毛細管現象と言いますが、ヘアークラックでもこの現象が起きて水を吸い上げます。その状態で水が凍るとひびを広げてしまうことがあるのです。また、内部のモルタルや木が水を含むと膨らむので、そこからひびが大きくなることもあります。小さなひび割れも放置するのは危険なのです。

シロアリも外壁のひび割れから浸入した水が原因で寄ってくることがあります。木材が濡れるとシロアリが好む成分を分泌するのです。また、シロアリは水を口に含んで木を柔らかくして食べます。水場があればシロアリの繁殖にはもってこいということです。とにかくひび割れには早期対処が一番ですから、見つけたらすぐに報告しましょう。

ひび割れは様々な方向に走りますが、一番水が入りやすいのは横に走ったひびです。横のひび割れは水を面で受けてしまうからです。縦のひびは点で受けるのでなかなか水が入りません。とは言え一度浸入すれば、毛細管現象で水を吸うのは同じです。ある実験によると、4時間雨が降った場合、1mの横ひび(構造クラック)からは2Lの水が浸入するそうです。構造クラックの場合は柱、梁、土台が傷む可能性があります。

ひび割れと築年数はあまり関係ありません。地震があれば構造上弱い開口部にはひびが入ることもあります。新築であっても点検は怠らない方が良いでしょう。早く発見すれば補修費用も安くて済みます。特に梅雨前は点検しておいた方が賢明です。

プロに頼めば小さな傷も見つけてくれます。さらに市民住まい向上委員会では、家に影響があるのかどうかを基準にしてチェックしますので、効果的な補修につなげることができます。

☆☆バスター矢野のワンポイントアドバイス①☆☆

マンションには陸屋根が使われていることがよくあります。陸屋根には防水層という層の上に保護モルタルを打ってあるものがあります。防水層は表面からは見えないのですが、大きな地震があるとひびが入ったりするので、地震が起きたら雨漏りには注意した方がいいでしょう。

☆☆バスター矢野のワンポイントアドバイス②☆☆

一戸建てなら床下を覗いてみて、シロアリがいないか確認しましょう。最近は人体に影響の少ないシロアリ予防の薬が出回っており、5年保証となっています。5年おきには消毒を行った方が良いでしょう。消毒を怠ったり、外壁の手入れを疎かにしているとシロアリが入ってくることがあります。

日本には25種類のシロアリがいると言われていますが、代表的なのはイエシロアリ、ヤマトシロアリ。近年ではアメリカカンザイシロアリが増加しています。関東地方で多いのはヤマトシロアリです。

先述のとおり、木はシロアリが好む成分を出すので、それを嗅ぎ付けてシロアリは集まってきます。5~6月はイエシロアリの巣立ちの時期です。シロアリの行動範囲は半径100mぐらいですが、数が多くなると巣分かれを起こします。5~6月には飛び立って、別の巣を作るわけです。気づいたら壁の中の木材をかなり食べられていることがあるので、注意が必要です。

床下収納庫を外す、あるいは畳を剥がすなどして床下に入ってみて、虫の死骸がないかどうかを確かめてみてください。分類上アリはハチに近く、シロアリはゴキブリに近い生物です。したがってゴキブリの死骸があると、シロアリも入ってきている危険性があります。虫の死骸がある場合は早めに消毒をしましょう。シロアリがまだいない場合は防蟻、いる場合は駆除が必要です。

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[コラム著者]矢野克己
矢野克己
一般社団法人市民住まい向上委員会代表理事、「住まいのトラブルバスター」(ラジオ日本)パーソナリティ。主な経歴として建設業界30年、建物診断約7,000棟以上、施工実績約4,000棟、セミナー・相談会等の講演や研修等実績300回以上。
市民住まい向上委員会とは「防犯・防災・住宅性能の向上等を一般市民に対し普及、支援活動を行う」事を目的として活動する非営利団体で、安全で安心して暮らせるような住まいの実現を目指し、啓発活動やセミナー講演、イベントなどを行うだけでなく、相談会・メール相談・面談なども行っております。

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