再注目されている板張りの家

タイル

「経年美化」が楽しめる板張りの外壁

現在では、外壁と言えばサイディングかモルタル、タイルが主流となっています。特にサイディングの中でも窯業系サイディングは人気が高く、ある調査では外壁素材別シェアの約70%が窯業系サイディングとなっています。これだけ人気がある理由は次のようなものが考えられます。

  • 重量が軽いので耐震性に優れている
  • 工場で製造されるので品質が一定
  • デザインのバリエーションが豊富である
  • 施工が簡単で工期短縮、施工費の削減ができる

また、サイディングには他にも金属系サイディング、樹脂系サイディング、木質系サイディングなどがあり、用途に合わせて選ぶことができます。

このように、現在では昔ながらの板張りの外壁はあまり見られなくなりました。木材には燃えやすい、腐りやすい、すぐ傷むといったイメージもあるのでしょう。DIYで杉板を使って小屋などを建てる人もいますが、杉板を選択した理由は「サイディングなどに比べて安価だから」など、性能を評価する人はあまりいないようです。また、板張りの外壁はおよそ1年~5年に一度はメンテナンスが必要だと言われており、トータルで見るとメンテナンス費用は高くなります。

しかし、あえてツール板張りの家を建てる人もいます。理由は様々ですが、一つには窯業系サイディングが抱える問題点をクリアしやすいからです。

窯業系サイディングは水を吸うので、塗装が施されています。この塗装は約10年で劣化するため、メンテナンスが必要になります。また、目地部分にシーリングを充填するのですが、シーリングも劣化します。メンテナンス時の状態によってはサイディングを交換する必要が出てくるのですが、ここで問題が生じます。数年後に同じデザインのサイディングが残っていないことがあるのです。すると部分的に外観が変わってしまうことになります。

この点、杉板は安心です。「杉板」というものがなくなることはありません。また、板張りの耐久年数はおよそ50年とも言われています。メンテナンスをしっかり行えば、杉の味わいがある外観の家を長く保ち、「経年美化」を楽しめるのです。

木は傷みやすいというイメージがありますが、浸透性のある木材保護塗料を使えば弱点をカバーすることができます。さらに杉板は海が近い塩害地域にも強く、施工法によっては耐火建築にすることも可能です。
杉板以外にも、ヒノキなどが外壁に使われることもあります。ヒノキは耐久性に優れており、腐りにくい高級素材として知られています。

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[コラム著者]矢野克己
矢野克己
一般社団法人市民住まい向上委員会代表理事、「住まいのトラブルバスター」(ラジオ日本)パーソナリティ。主な経歴として建設業界30年、建物診断約7,000棟以上、施工実績約4,000棟、セミナー・相談会等の講演や研修等実績300回以上。
市民住まい向上委員会とは「防犯・防災・住宅性能の向上等を一般市民に対し普及、支援活動を行う」事を目的として活動する非営利団体で、安全で安心して暮らせるような住まいの実現を目指し、啓発活動やセミナー講演、イベントなどを行うだけでなく、相談会・メール相談・面談なども行っております。

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