多数のバリエーションが存在する『セメント瓦』

多数のバリエーションが存在する瓦

セメント瓦とは、セメントに水、砂などを混ぜたものを型に流し込んで成型したものです。種類としては厚形スレート(単にセメント瓦と呼ばれることも)とコンクリート瓦があります。
セメントは耐水性が低いので、水を防ぐために塗装が必要になります(顔料をセメントに混ぜて着色しているものもあります)。
厚形スレートもコンクリート瓦も原料は同じですが、原料の配合割合が異なっています。厚形スレートは形や意匠に多数のバリエーションが存在しますが、コンクリート瓦は種類が少ないようです。
見分け方としては、厚形スレートの小口は滑らかですが、コンクリート瓦はゴツゴツしているという特徴があります。

セメント瓦のメリット・デメリット

先にも述べたとおり、セメント瓦はバリエーションが豊富です。洋風、和風、フラット形などがありますので、どんな外観にも対応できます。プレス加工により品質が均一で、精度が高く、耐火性にも優れているという特長があります。また、施工しやすいというメリットもあります。化粧スレートほどではありませんが、カラーバリエーションも豊富です。

ただし、セメント瓦は重いのが特徴です。そのため耐震性に劣り、割れやすいという弱点があります。塗装でメンテナンスできる均質な瓦として一時期流行したのですが、現在では生産数が現象しています。
塗装されているセメント瓦の場合は、塗装が劣化したらメンテナンスが必要になります。陶器瓦などに比べれば安価ですが、メンテナンス料を考えるとトータルコストはあまり変わらないかもしれません。

塗装が剥がれたセメント瓦を放置していると、やがてはセメント自体が劣化して、瓦を交換しなければならなくなります。一般的には10年ごとに塗り替え、20~30年経ったら葺き替えることになります。
なお、厚形スレートとコンクリート瓦では適した下塗り材が異なります。間違えてしまうと塗装がすぐに剥がれてしまうことがあります。

新開発のセメント瓦も

デメリットが多い印象ですが、最近では顔料を練り込んだコンクリート瓦には20~25年程度の品質保証を付けるメーカーもあります。
また、強化された軽量なセメント瓦も登場しています。この瓦は新素材から成型されており、一般的な粘土瓦と厚さが変わらないのに重量は半分以下、弾力性があって割れにくく、高い防火性能を備えていると言います。
新開発の瓦も視野に入れれば、まだまだ現役の建材だと言えるでしょう。

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[コラム著者]矢野克己
矢野克己
一般社団法人市民住まい向上委員会代表理事、「住まいのトラブルバスター」(ラジオ日本)パーソナリティ。主な経歴として建設業界30年、建物診断約7,000棟以上、施工実績約4,000棟、セミナー・相談会等の講演や研修等実績300回以上。
市民住まい向上委員会とは「防犯・防災・住宅性能の向上等を一般市民に対し普及、支援活動を行う」事を目的として活動する非営利団体で、安全で安心して暮らせるような住まいの実現を目指し、啓発活動やセミナー講演、イベントなどを行うだけでなく、相談会・メール相談・面談なども行っております。

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