表面石粒仕上げのジンカリウム鋼板

自然石の粒が付着した鋼板

屋根材として有名な建材にガルバリウム鋼板があります。アルミ・亜鉛・シリコンから作られ、「軽くて安くて丈夫」な三拍子が揃った金属屋根を形成します。
スレート屋根に負けないくらい安価で、それでいて瓦並みの強度を誇るとも言われています。

一方、インターネットの普及などにより、様々な種類の屋根材が知られるようになってきました。
中でも人気が高い建材の一つに「ジンカリウム鋼板」があります。ジンカリウム鋼板は「表面石粒仕上げ」「天然石付着屋根」「自然石粒付き鋼板屋根」「ストーンチップ」などと呼ばれることもあります。

メリットが多いジンカリウム鋼板

ガルバリウム鋼板はコストパフォーマンスに優れた建材ですが、弱点もありました。
まず、金属屋根なので雨音が共鳴し、防音性が低いこと。また、熱がすぐに伝わってしまうため断熱性にも問題がありました。
これらの問題点を同時に解消する方法は2つ。カバー工法(既存の屋根の上に防水層を作り、さらに上から屋根を重ねる工法)を用いて防音性・断熱性を高めるか、表面石粒仕上げの鋼板を用いて屋根を新造するかです。
表面石粒仕上げの鋼板には、表面に細かな石粒が付いています。この細かな凹凸が雨粒を拡散させ、雨音を抑えることができるのです。

さらに、表面の石粒には熱伝導を抑える効果もあり、熱を伝えてしまうガルバリウム鋼板の弱点をカバーできます。また、屋根材と防水シートの間に空間を設ければ、空気層が断熱材の役割を果たします。
材料同士がこすれても塗装やメッキが剥がれにくく、錆が出にくいという利点もあります。また、重さもガルバリウム鋼板に比べてわずかに重いだけなので、耐震性にも優れています。
こういった表面石粒仕上げを施した鋼板の多くがジンカリウム鋼板と呼ばれるのです。しかし、実はガルバリウムとジンカリウムの材質に大きな違いはありません。

強いて言えば、ガルバリウム鋼板は日本製が主流ですが、ジンカリウム鋼板の名義で販売されている製品の多くは海外製だと言われています(実際には、表面石粒仕上げを施したガルバリウム鋼板も一部で販売されています)。
一般的には、ガルバリウム鋼板は保証10年、耐用年数25年。ジンカリウム鋼板では保証30年、耐用年数50年という製品が多くなっています。

ジンカリウム鋼板のデメリット

ジンカリウム鋼板のデメリットとしては、先に述べたように輸入品が多くサポートに不安が残ることと、断熱材が付いていないことが挙げられます。
石粒が防音性や断熱性を担っているからですが、屋根材の裏に断熱材が充填された成形ガルバリウム鋼板と比べると断熱性では劣ります。
工事の際などには、石粒が取れることもあります(性能には影響ないと言われます)。

また、ジンカリウム鋼板は役物(板金)の値段が高く、同質役物(屋根本体と素材を揃える)にするとガルバリウム鋼板に比べて割高になると言われています。
輸入品がほとんどで施工に手間がかかるので、施工価格が高めになりがちなのもネックです。

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[コラム著者]矢野克己
矢野克己
一般社団法人市民住まい向上委員会代表理事、「住まいのトラブルバスター」(ラジオ日本)パーソナリティ。主な経歴として建設業界30年、建物診断約7,000棟以上、施工実績約4,000棟、セミナー・相談会等の講演や研修等実績300回以上。
市民住まい向上委員会とは「防犯・防災・住宅性能の向上等を一般市民に対し普及、支援活動を行う」事を目的として活動する非営利団体で、安全で安心して暮らせるような住まいの実現を目指し、啓発活動やセミナー講演、イベントなどを行うだけでなく、相談会・メール相談・面談なども行っております。

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