川崎市「総務局危機管理室啓発・予防担当課」の防災対策とは?

防災意識を高めるための取り組み

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<前回より続きます!>

矢野 早川さんは「総務局危機管理室啓発・予防担当課」の所属ですが、この部署は他にどのようなことをされているのでしょうか。

早川 例えば災害が起きた時には「災害対策本部」を設置します。川崎市内の被害情報を全部集めて、市民の皆さんにお知らせしたり、手が足りない所には応援に行ったりしますね。それ以外にも、災害時にそれぞれの部署がちゃんと動けるように計画作りをする。これがかなり大変です(笑)。災害時には色々な部署が色々な動きをして、色々な事情がある、それでも一体になって動けるように計画するという大きな仕事があります。後は防災訓練などですね。私のように、市民の方々にわかりやすく防災を伝える市民啓発・防災啓発という部署もあります。

矢野 イベントなどもやっていらっしゃいますか。

早川 やっています。防災週間(8月30日~9月5日)にはいくつもイベントを行って、皆さんに防災について興味を持ってもらうということにも取り組んでいます。

斉藤 内容的にはどのようなことを?

早川 色々ありますが、各企業の防災の取り組みを紹介したり、川崎市の場合は避難所に備蓄品がありますので、避難所に行ったらどのようなものがもらえるかを展示して、市民の方に手に取ってもらったりしています。「こんなものがあるなら安心だな。でも、ウチではこんなものが足りないな」と、防災の備えについて考えてもらうきっかけになっていると思います。もちろん、防災ばかりでは飽きてしまいますので(笑)、市内の学校からブラスバンドを呼んだりします。こないだは、幼稚園の鼓笛隊を呼びました。そうすると親御さん達がたくさん見に来るわけです。そこで集まった親御さんに防災の冊子を持って帰ってもらったりしています。

斉藤 イベントで楽しく集客をしながら一番伝えたいことを挟み込んで伝えるわけですね。大変なお仕事ですねえ。

早川 いえいえ。

斉藤 意識を高めるというのは、大変ですよ。

事前準備が大切なこれだけの理由

矢野 私が聞いた話では、ある地区で行われた避難訓練に参加された方が、実際に避難所の体育館に行ってみたら人が多過ぎて中で寝られず、ほとんどの人が外に出なければならなかった、という経験をされたそうです。実際の避難所の収容能力は足りているのでしょうか。

早川 なるべく十分な数の避難所をご用意しようと努力しています。一方で、ご自宅が無事であれば、ご自宅にいていただく「自宅避難」をお勧めします。電気・水道が止まっていても、レトルト食品とペットボトルなどの水、カセットコンロで何日間か生活できれば、別に避難所に行く必要はない。そういった啓発もしています。

斉藤 お年寄りがいたり、子供がいたりする家庭の長の方は特に意識を高めておかねばなりませんね。

早川 そうですね。最近では、お勤めの方は「帰宅困難者」になることがありますが、「帰宅抑制」ということも言われるようになりました。すぐに家に帰ろうとせず、しばらくは会社にいて、時間が経ってから帰宅してください、ということも多いのです。平日の昼間に地震が起こったりすれば、家では奥さんと子供だけで「パパ、いつ帰ってくるの?」ということにもなる。

斉藤 共働きの場合はおじいちゃん、おばあちゃんと子供だけになっちゃいますね。

早川 はい。ですから家族で防災マップを囲んで、地震などが起こった時はどこに集まるのか等を話し合っておいていただければ、と。「パパが何時には帰ってくるから、それまでは我慢しようね」とか、イメージできますよね。

斉藤 地図を広げればイメージが湧きますね。

矢野 ぜひ各家庭で話し合っていただきたいですね。

斉藤 行政の取り組みを確認する作業から始めるといいんじゃないかな。

早川 そうですね。

矢野 最終的には自分の判断になりますから、情報は多い方が良いでしょう。

斉藤 矢野さんも防災・防犯に取り組んでいますから、一緒に何かできそうですね。
日本は色々な災害に見舞われているのに、どこかで「ウチだけは大丈夫」と思っていたり……リアリティが重要になってきますね。

早川 そうですね。災害が起こって初めて「あの時、準備をしておけば」と思うことは多いです。例えは悪いですが、夏休みの宿題を8月31日までにやればいいや、と思って遊ぶことがありますよね。でも、災害においては突然9月1日が来てしまうわけです。思い立ったが吉日。すぐに取り組んでほしいと思います。

斉藤 一家の主が率先してアクションを起こすということが大事ですね。ぜひともまた色々な話を聞かせていただければと思います。

早川 はい。こちらこそ、よろしくお願いします。

行政の作るマップには間違いがあってはいけないので、相当丁寧に作り込んでいます。行政の取り組みも、マップを見ればよくわかるでしょう。ぜひ、現物を手に入れて家族でご覧になってほしいと思います。

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[コラム著者]矢野克己
矢野克己
一般社団法人市民住まい向上委員会代表理事、「住まいのトラブルバスター」(ラジオ日本)パーソナリティ。主な経歴として建設業界30年、建物診断約7,000棟以上、施工実績約4,000棟、セミナー・相談会等の講演や研修等実績300回以上。
市民住まい向上委員会とは「防犯・防災・住宅性能の向上等を一般市民に対し普及、支援活動を行う」事を目的として活動する非営利団体で、安全で安心して暮らせるような住まいの実現を目指し、啓発活動やセミナー講演、イベントなどを行うだけでなく、相談会・メール相談・面談なども行っております。

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