適材適所で威力を発揮する自然素材

実験でわかる珪藻土の威力!

漆喰の壁

引き続き、アトピッコハウスの代表取締役、後藤坂さんのインタビューです。

斉藤 壁であれば漆喰素材で湿気を取るとか、技術や素材も進歩していますね。自然素材にも適材適所があるわけですか。

後藤 例えばシックハウスの問題では、建材に使われている化学物質が揮発して室内の空気を汚染するので、人の健康にも害があった。自然素材は基本的に有害な化学物質を使っていない、もしくは使う必要がないものです。自然素材を使った家に住むと健康になるとか、病気が治るということではなく、「負荷を与えない」という意味で現状維持ができる。それはお約束できます。

斉藤 自然体でいられるということですね。家の中に化学的なものがあると体に支障を来す方もいらっしゃるわけですから。
実は私も外装を補修したのですが、家の中は手つかずなんです。今回は色々お持ちいただいたので、実験も兼ねてご相談に乗っていただきます。
まずは珪藻土ですね。矢野さんにも「子供と一緒に塗れますよ」と紹介してもらったことがありますが、珪藻土について教えていただけますか。

後藤 塗り壁の素材としては、珪藻土はここ20年ぐらいで登場したものです。もともとの珪藻土には壁に塗れるような粘着性がないので、それを塗れるようにして建材として普及したのが、およそ20年前。珪藻土は七輪のように断熱性が必要な素材にされたり、ビールの濾過材として使われます。小さい穴がたくさん開いているので、カスを濾過することができる。調湿性もあるということで、部屋の壁に用いると湿気を吸ってくれるので、気持ちのいい部屋になる。
簡単な実験をしてみましょう。珪藻土でできた石に、スプレーで水をかけます。すると一瞬で水が染み込みます。

斉藤 本当だ! 乾いているじゃないですか。

後藤 視覚的にわかりやすいですね。小さな穴に水蒸気が入っていくんです。だから部屋が湿っぽい時は壁が水蒸気を吸ってくれて、相応しい環境になる。部屋の中が乾いてくると今度は壁に蓄えた水蒸気を吐き出すので、部屋が湿潤化します。

斉藤 壁が部屋のコンディションに応じて呼吸して、コンディションを整えてくれる。

後藤 天然のサーモスタットみたいな感じですね。湿気が多い時には吸い、少ない時には補給してくれる。

斉藤 珪藻土の需要というのは……。

後藤 増えてますね。珪藻土好きと漆喰好きがいて、人気が二分されています。

斉藤 珪藻土だと、すぐに水が乾きますね。秋の長雨でも威力を発揮しそうです。
次は壁紙です。ウチも築17~18年で、ネコもいるので、相当壁紙をやられています。珪藻土にしようか、壁紙にしようか、迷うのですが。

後藤 斉藤さんのお宅は普通のビニールクロスですか。

斉藤 だと思います。

後藤 そうですか。ちょっとこのクロスを破ってみてください。
(ビリッと簡単に破れる)
これが一般的なクロス。裏に紙が貼ってありますけど、紙の表面はビニールになっています。ネコがひっかいたらビリビリになるし、カバンをぶつけると破れたりします。
こちらは昔から作られている壁紙です。ちょっと破ってもらえますか。

斉藤 ……あっ、破れない! これは無理ですね! ハサミで切らないと無理。

後藤 これは布でできています。本物の壁紙、「クロス」というのは布のことです。斉藤 強度では布がはるかに勝っていますね。

後藤 もう一つ。ビニールの壁紙は、水を吹きかけると、水を弾いて水滴になります。しかし、布の壁紙は湿気を吸ってくれるのです。珪藻土ほどではありませんが、調湿性があるのです。ビニールクロスから塗り壁にすると、やはり予算が必要になります。でも、ビニールクロスから布のクロスに替えるのは、そんなに費用はかかりません。予算がないけど自然素材にしたい、という時に、比較的手の届きやすい選択肢になります。

斉藤 なるほど、これからリフォームで壁を替える場合にいいですね! ビニールと布でこれほど違うとは思いませんでした。

<この項、続きます!>

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[コラム著者]矢野克己
矢野克己
一般社団法人市民住まい向上委員会代表理事、「住まいのトラブルバスター」(ラジオ日本)パーソナリティ。主な経歴として建設業界30年、建物診断約7,000棟以上、施工実績約4,000棟、セミナー・相談会等の講演や研修等実績300回以上。
市民住まい向上委員会とは「防犯・防災・住宅性能の向上等を一般市民に対し普及、支援活動を行う」事を目的として活動する非営利団体で、安全で安心して暮らせるような住まいの実現を目指し、啓発活動やセミナー講演、イベントなどを行うだけでなく、相談会・メール相談・面談なども行っております。

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