バスター矢野が考える自然素材・天然素材の理想の家

自然素材の有無は大きな差になる

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「家は人間を作る、という話を聞きますが、人間をダメにする家とはどのようなものでしょう。矢野さんなら、どんな家を作ると良いと思いますか」というご相談を受けました。

「名は体を表す」と言いますが、家も体を表すと言えます。私が良いと思うのは“昔の家”です。おばあちゃんの家を想像していただけるとわかると思いますが、ほとんど広い一間しかない、梁があって、柱があるような家ですね。

「住育」という言葉があります。住んでいる家によって人は育てられるということです。昔、おばあちゃんの家に行くと、広い一間があるばかりで、区切られた部屋はほとんどなかったように思います。引きこもりが問題になったりしますが、そもそも引きこもる部屋がなければ引きこもれないでしょう。仕切りを作るから心にも仕切りができてしまう。その意味では、昔の家の方が良いと思います。昔は囲炉裏がありましたが、火の揺らぎを見るのも精神的に良いそうです。子供さんの部屋も、寝るだけのスペースがあれば良いと思います。

もっとも、住宅を取り巻く環境が昔とは変わっているのも事実です。広い平屋より、2階、3階と縦に伸びる家が多いですよね。すると当然、部屋を作ることになります。
3階建てであれば、お父さん、お母さんがいるリビングを1階に作って、子供の部屋に行くには必ずリビングを通らなければいけない作りにすると良いと思います。それだけで自分の子供は挨拶ができるのか、どんな子供と友達になっているのかわかりやすくなります。建売の中古住宅の場合は、構造を変えるのは容易ではないと思いますが、子供部屋に入るには必ずリビングを通る部屋割りにすることは可能でしょう。

昔は蚊帳の中に家族みんなで寝たりしていたと思います。そこで親と様々な話をしていた記憶があります。家族で会話できる空間を活用しましょう。

昔の家は木造でしたね。よく「鉄筋コンクリート、鉄骨造り、木造の家ではどれが良いのでしょうか」と聞かれます。ある実験がありまして、木の箱、鉄の箱、コンクリートの箱にそれぞれマウスを入れて調べたところ、木の箱に入れたマウスが長生きしたと言います。ただ、この実験は木造住宅を売りたい人が行ったもので(笑)。実際には、コンクリートの家でもフローリングがあったり内装があったりしますので、コンクリート剥き出しではありません。これも実験した人がいまして、コンクリートの箱に板、塗装した板、クッションフロアなどを入れてマウスを飼ってみたのです。すると木の箱に入れたマウスと寿命は変わらなかったと言います。ただ、塗装していない自然素材のような板の上で生活したマウスが若干長生きしたそうです。

では、人間の場合はどうか。これも研究した人がいます。木造の校舎で勉強している子供達と、鉄筋コンクリートの校舎で勉強している子供達について調査したところ、鉄筋コンクリート校舎の子供達にはイライラなどの精神的な乱れが見られたそうです。特に女の子で差が如実に現れたそうなので、女性はイライラなどが出るようであれば、鉄筋コンクリートより木造のお宅に住まれた方が良いかもしれませんね。

地震に対しては鉄筋コンクリートなどの方が強いというイメージがありますが、やはり木の温もりというのは軽視できません。鉄筋コンクリート造りでも、自然素材をふんだんに使うなど工夫したいものです。当然、間取りや採光の仕方でも快適さは変わってくると思います。

独身であれば家には寝に帰るだけだったでしょうが、家族ができれば事情は変わってきます。木造であってもなくても、ゆっくりくつろげる家にしたいものです。

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[コラム著者]矢野克己
矢野克己
一般社団法人市民住まい向上委員会代表理事、「住まいのトラブルバスター」(ラジオ日本)パーソナリティ。主な経歴として建設業界30年、建物診断約7,000棟以上、施工実績約4,000棟、セミナー・相談会等の講演や研修等実績300回以上。
市民住まい向上委員会とは「防犯・防災・住宅性能の向上等を一般市民に対し普及、支援活動を行う」事を目的として活動する非営利団体で、安全で安心して暮らせるような住まいの実現を目指し、啓発活動やセミナー講演、イベントなどを行うだけでなく、相談会・メール相談・面談なども行っております。

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