屋根に不安を覚えた時のチェックポイント

「屋根がずれる」とはどういうことか

隣人宅が太陽光パネルの取り付けの際に「屋根がずれている」と業者から言われた、自分の家の屋根は大丈夫なのだろうか?と言う方からご相談をいただきました。

屋根がずれるとすれば大抵は地震が原因ですから、自分の家にも影響が出ているはず。しかし、外見上は素人目にはわからないこともあります。
まず、屋根瓦の種類からご説明しておきます。屋根瓦を大きく分けると「陶器瓦」と「セメント瓦」の2種類になります。

陶器瓦は一般的には粘土瓦と呼ばれています。中でも釉(うわぐすり)をかけて焼いた物は釉薬瓦と呼ばれます。産地別に見ると石州瓦(島根)、三州瓦(愛知)、淡路瓦(兵庫)が代表的な釉薬瓦です。一般的には石州・三州・淡路いずれかの釉薬瓦が使われていると思います。なお、粘土瓦と対を成すのが「素焼き瓦(燻し瓦)」です。

私が福岡に住んでいた時、西方沖地震が起こりました。会社には1日400件近くの問い合わせがあったのですが、ほとんどが陶器瓦の棟の部分(屋根の頂)の崩れに関するものでした。

棟の部分には赤土を積むことが多いのですが、そこが壊れると雨漏りの原因になったりします。セメントで固めた部分が崩れたりするのです。「屋根がずれた」というのも、おそらく棟を見て判断したのでしょう。最近では「シリコン南蛮」という丈夫な漆喰が発売されているので、技術のある方ならご自分で補修することもできるでしょう。ただ、屋根上での作業は危険なので、基本的には業者に頼んだ方が賢明です。

棟の部分をよく観察すると、棟と瓦の間を塞ぐ面戸(めんど)という部材が外れたりしていることがあります。赤土が見えたら要注意。雨漏りする前に補修しましょう。

今では耐震工法(ガイドライン工法)に変わっているので、中に金具を固定したり、下地に木を入れたりするようになっています。棟が崩れてしまった場合は新しい工法で作り直すと良いでしょう。

釉薬瓦の場合は釉薬が塗られていますが、年数が経つと細かいひび割れが起きます。冬場に水が入ると凍って剥離し始めるので、瓦の葺き替え時ということになります。また、屋根の状態が気になる場合は屋根瓦を外し、下地に敷かれているルーフィングという防水材が破れていないか確認すると良いでしょう。

ガルバリウム鋼板という素材を使った屋根もあります。金属屋根は瓦屋根と違って野地板との間に空間がない施工になっているので、ダイレクトに熱が伝わり、夏場は暑くなります。

ガルバリウム鋼板はアルミ・鉄・亜鉛でできており、大変錆びにくいものです。基本的に塗装の必要はないのですが、遮熱塗料を塗る方もいらっしゃいます。遮熱塗料を使えば表面温度で20~30度、室内温度で3~4度下げることができます。

自分の家の屋根の材質を聞かれてもわからない方は、ぜひ調べておきましょう。メンテナンスをする際に役立ちます。

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[コラム著者]矢野克己
矢野克己
一般社団法人市民住まい向上委員会代表理事、「住まいのトラブルバスター」(ラジオ日本)パーソナリティ。主な経歴として建設業界30年、建物診断約7,000棟以上、施工実績約4,000棟、セミナー・相談会等の講演や研修等実績300回以上。
市民住まい向上委員会とは「防犯・防災・住宅性能の向上等を一般市民に対し普及、支援活動を行う」事を目的として活動する非営利団体で、安全で安心して暮らせるような住まいの実現を目指し、啓発活動やセミナー講演、イベントなどを行うだけでなく、相談会・メール相談・面談なども行っております。

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