今も技術開発が進む屋根『エアーフレッシュ』

今も技術開発が進む屋根

屋根材と言えば瓦を思い浮かべるかもしれませんが、いわゆる和瓦が普及したのは江戸時代中期からです。
それまでは草葺きや板葺きの屋根が一般的でした。江戸の町は家が密集していたので、火事になるとしばしば大火に発展します。
そこで新たに開発された軽量な桟瓦が推奨されるようになったのです。江戸時代には銅板屋根も用いられましたが、高価だったので寺社仏閣やお城に使われることがほとんどでした。例えば名古屋城は銅瓦が使われている代表的な建築物です。一部では鉛瓦も使われました。

そして明治維新以降、金属屋根が本格的に普及します。当時の屋根はトタン(亜鉛鉄板)が主でしたが、銅や鉛以外にブリキなども用いられました。現在はガルバリウム鋼板などが登場し、金属屋根の耐久性は向上しています。
また、昭和の頃にはスレート屋根が普及するようになりました。このように屋根にも長い歴史があり、現在も技術開発は進んでいます。株式会社トーコーの「エアーフレッシュ」も近年になって開発された屋根用部材の1つです。

野地板の下を通気させるエアーフレッシュ

エアーフレッシュは「屋根役物」に分類されます。役物とは特定の場所に使用される特殊な形状の部材のことです。エアーフレッシュは「軒先給気部材」と呼ばれています。

エアーフレッシュが使われるのは軒先で、本体は細長い部材です。断面はエの字に近い形状をしており、垂直面には給気口がズラッと並んでいます。エの字の上の部分で野地板を持ち上げ、野地板の下に空気の流れを作ることを目的とした部材です。小屋裏の湿度を下げることは防カビに効果があるだけでなく、結露も防ぐことができるので住宅の劣化軽減に役立ちます。換気棟と組み合わせることで、長寿命住宅の構築にも貢献します。

近年はゲリラ豪雨が頻発しており、壁面や軒天部からの浸水が問題視されています。エアーフレッシュは強風時に作動する独自の「振子式WaterStop機能」を採用しており、株式会社トーコーの試験結果によると風速40m/s、水量240mm/hの状況下でも浸水しなかったそうです。
なお、エアーフレッシュはコロニアル屋根、平板瓦屋根、金属屋根など、あらゆる屋根材に対応できます。

斜線カット屋根にも対応

2015年には、斜線カット屋根などの急勾配屋根を備えた軒ゼロ物件に対応する「エアーフレッシュ急々勾配」も発売されました。エアーフレッシュはもともと軒ゼロ物件にも対応可能でしたが、急勾配の斜線カット屋根には使えませんでした。
「急々勾配」は斜線カット屋根にも対応し、従来製品と同等の防水性能を実現しています。

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[コラム著者]矢野克己
矢野克己
一般社団法人市民住まい向上委員会代表理事、「住まいのトラブルバスター」(ラジオ日本)パーソナリティ。主な経歴として建設業界30年、建物診断約7,000棟以上、施工実績約4,000棟、セミナー・相談会等の講演や研修等実績300回以上。
市民住まい向上委員会とは「防犯・防災・住宅性能の向上等を一般市民に対し普及、支援活動を行う」事を目的として活動する非営利団体で、安全で安心して暮らせるような住まいの実現を目指し、啓発活動やセミナー講演、イベントなどを行うだけでなく、相談会・メール相談・面談なども行っております。

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