外壁塗装の古い「常識」を忘れて正しい知識を身につけよう!

適切な知識の普及のために

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初めまして、矢野克己です。一般社団法人・市民住まい向上委員会の代表理事を務めております。市民住まい向上委員会とは、市民活動の一環として一般消費者向けの勉強会や相談会などを定期的に開催している任意団体です。

こう言いますと、「また何かの営業じゃないのか」と思われる方もいらっしゃると思います。しかし、そうではありません。市民住まい向上委員会は、無料で住まいの診断を行ったり、無料出張セミナーを開催している団体です。セミナーのテーマは、例えば「良い業者、悪い業者の見分け方」。残念ながら、建築業者とお客様の出会いが不幸なものになるケースが後を絶たないのがこの業界の現状です。私達は業界のクレームを一件でもなくすために活動を続けています。

このコラムでも、ユーザーの方の立場に立って、住まいのお悩みに1つ1つお答えしていこうと思います。
しかし、その前に1つお願いがあります。このコラムを読む時は、できるだけ頭の中の「常識」を忘れてほしいのです。例えば「リフォーム代金は安い方がいい」「工事期間はできるだけ短い方がいい」といった「常識」の声を聞かないようにしていただきたいと思います。なぜなら、そのような「常識」はこれからご紹介する「現実」と食い違う場合が多々あります。すると「常識」が理解を歪ませ、判断を誤らせてしまうことがあるのです。

手抜き塗装を防ぐには色を変えさせれば良い?

実例を挙げましょう。ある大手の経済新聞に、1つの記事が載りました。この新聞の名前は、おそらく誰でも知っています。この新聞の記事と聞けば、内容について疑いを持つ人はほとんどいないでしょう。

その内容は次のようなものでした。
「3回塗りする場合、1回ごとに色を変えた方が手抜きをされなくて良い」
実はこれ、大きな間違いです。

メーカーのカタログを見ても、違う色で塗ってくださいとはどこにも書いていない。メーカーに問い合わせても、「変色するかもしれないので保証はできない」という答えが返ってきます。つまり、同じ色で塗らなければいけないのです。
極端な話、下塗りに白か透明、中塗りに赤、上塗りに再び白を塗ったらどうなるのでしょうか。
塗膜は薄いので、ピンク色になります。白にはならないのです。

塗料というのは、規定の回数で塗ることによって本来の色を出すように作られています。回数を守らなければ、カタログ通りの発色は得られず、塗料の性能も発揮されません。結果、手抜き塗装をされた時と同じ欠陥を抱えてしまうことになります。

また、塗料の成分には樹脂・顔料・水などがありますが、顔料の成分等が変わってくると、変色やまだらの原因になります。顔料は色を決める成分ですから、色が変われば顔料も変わります。やはり、違う色で塗ってはならないのです。

メーカーの人は「塗料の品質を守るうえでは同じ色で塗ってください。検査が目的であれば違う色で塗ってもいいと思いますけど……」と言っていました。自分の家で塗料の検査をする人、いませんよね(笑)。

ところがこれを推奨する文章が大手経済新聞に載ってしまったのです。このコラムを読む前のあなただったら、この記事の嘘を見破れたでしょうか?

ぜひ一度、これまでに得た「常識」を忘れてこのコラムを読んでいただきたいと思います。

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[コラム著者]矢野克己
矢野克己
一般社団法人市民住まい向上委員会代表理事、「住まいのトラブルバスター」(ラジオ日本)パーソナリティ。主な経歴として建設業界30年、建物診断約7,000棟以上、施工実績約4,000棟、セミナー・相談会等の講演や研修等実績300回以上。
市民住まい向上委員会とは「防犯・防災・住宅性能の向上等を一般市民に対し普及、支援活動を行う」事を目的として活動する非営利団体で、安全で安心して暮らせるような住まいの実現を目指し、啓発活動やセミナー講演、イベントなどを行うだけでなく、相談会・メール相談・面談なども行っております。

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