屋根にまつわる法律、民法第717条の損害賠償責任と建築基準法の第8条

「たかが屋根」と侮ってはいけません!

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夏は屋根にとって負担が増加する季節です。強烈な直射日光にさらされるだけでなく、台風もやって来るようになりますし、温度の差も激しくなります。近年ではゲリラ豪雨もあります。そのため被害・災害の出やすい季節でもあります。

建物に関しては様々な法律がありますが、建物の所有者・管理者は台風や地震などにより発生した事故であっても、第三者の安全を脅かしたり損害を生じた時には、損害賠償責任が生じます(民法第717条)。建築基準法の第8条では、建物の所有者は規模の大小にかかわらず自らの責任において建築物の状況に応じた補修・改修をして、安全で良好な状態の維持・管理に努める責任があります、と定められています。一言で言えば、きちんと修繕して第三者に被害を与えないようにしておかなければならない、ということです。例えば台風で屋根が飛んで余所の家を壊したりすれば、屋根が飛んだ家の所有者が賠償責任を負います。このことは知らない方も多いのですが、毎年こういった事故は起こっていて、損害賠償を請求されるケースがあります。場合によっては飛んだ屋根が人を傷つけることもありますので、「たかが屋根」とは思わずに屋根の状態を確認しておくことが大事です。

厳密に言えば、「予期できない規模の自然災害」の場合は所有者に賠償責任はないのですが、台風で屋根が飛ぶかもしれないというのは当然予期できますので、責任を免れることはできないのです(相手方にも、「必要な防護をしていなかった」ということで過失が認められる場合もあります)。
あまりひどい状態を放っておくと、近所から「飛んだら危ない」「子供に当たったらどうするんだ」と苦情が来る場合もあります。必要であればきちんと補修を行いましょう。

バスター矢野のワンポイントアドバイス

リフォームには計画が大事です。家族で話し合う時間が必要なこともあり、最近では3年ぐらい前から計画する方も増えています。切羽詰まってリフォームをする方とは違い、外壁を塗る際に梅雨を避けたりするような心のゆとりを持つこともできます。

大きなマンションなどの場合は管理組合が運営するのが普通ですが、最近多いのがアパートの大家さんからの相談です。自主管理を行う方が増えているようで、修繕計画のことでよく相談されます。大家さんは収益を上げなければならないので、同じ塗装をするのでも入居者が増えるような配色にしたり、おしゃれな内装に変えたりする場合があります。

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[コラム著者]矢野克己
矢野克己
一般社団法人市民住まい向上委員会代表理事、「住まいのトラブルバスター」(ラジオ日本)パーソナリティ。主な経歴として建設業界30年、建物診断約7,000棟以上、施工実績約4,000棟、セミナー・相談会等の講演や研修等実績300回以上。
市民住まい向上委員会とは「防犯・防災・住宅性能の向上等を一般市民に対し普及、支援活動を行う」事を目的として活動する非営利団体で、安全で安心して暮らせるような住まいの実現を目指し、啓発活動やセミナー講演、イベントなどを行うだけでなく、相談会・メール相談・面談なども行っております。

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