屋根・外壁リフォームで一括見積もりサイトは当てにならない!?

見積もりが当てにならない理由とは

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最近多いのが、「見積もりサイトで見積もりを取ったけど、どこに頼んだら良いと思いますか」という問い合わせです。見積もりサイトとは、インターネット上で条件を入力すると業者の見積もりを無料で集めることができるサイトのこと。個人情報を入力しなくても利用できるサイトもあるので、近年利用者が増えているようです。

ところが話を聞いてみると、ご自宅の平米数がわからないという方がけっこういらっしゃいます。平米数がわからないのに、A社、B社、C社と見積もりを取っても、適正なリフォーム業者がわかるでしょうか?

手抜き工事をされるのが怖いので、一番見積もりが高かったA社を選ぶ人がいます。逆にとにかく安い方が良いと考え、一番安価なC社を選ぶ人もいます。そして、値段が2番目に安いB社を選ぶ人もいます。理由は「(値段が)真ん中だから」。でも良く考えてみると、業者を選ぶ基準としてははなはだ弱いですよね。

家の中の工事であれば、3社から選ぶという方法は「あり」です。例えばシステムバスの寸法などは誰でも測れますし、間違えることもありません。条件がはっきりしていますから、後は料金で決めればいい。システムキッチンも同様です。しかし、屋根・外壁のリフォームに関しては、3社から見積もりを取るのは間違いです。なぜなら、塗装面積の測り方が違うから。

昔は訪問販売が主流だったので、その場で外壁などの面積を測る必要がありました。その計算式が業者ごとに違っていたのです。この名残で、今でも独自の計算式を使っている業者があります。最近では訪問販売法が厳しくなったので、その場で計算することはありませんが。

消費者の方も用心深くなって、ご自分で塗装面積を計算してみようとする方もいます。業者も見積もりに図面を付けてくる場合があります。きちんと現地に来て測ってもくれます。消費者の方は「ああ、ちゃんとやってくれているな」と思います。しかし実際には、簡単に縦横を測るだけで、窓などの面積は概算で出す場合が多いのです。すると業者が出す見積積算根拠も正しいとは限りません。

最近の塗料は様々な機能性を持っているので、正しい塗布量を守らないと性質や性能が変わってしまいます。しかし、実際にどれだけの塗料が必要かは、先の計算式ではわからないのです。加えて、塗布量はkg/㎡/回で表されますが、塗料は缶に入っています。すると業者によっては塗料を薄く伸ばして塗り、缶を余らせることもあるのです。消費者の方は塗料が何缶必要だったか把握していないので、塗料が余っても料金をそのまま払ってしまいます。その塗料は「余ってますから安くしますよ!」と、他の現場で使われるのです。第1回の「これまでの常識を忘れて正しい知識を身につけよう!」で紹介した下塗り・中塗り・上塗りで色を変えるという発想の発端は、かき集めた塗料を下塗りに使ったことだと考えられます。塗料費を浮かせるための方便ですね。当然、メーカーの指定する塗布量は守られません。

こういった不良施工を避けるには、値段から業者を探すのではなく、適正な施工をしてくれる業者を探す姿勢が必要になります。

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[コラム著者]矢野克己
矢野克己
一般社団法人市民住まい向上委員会代表理事、「住まいのトラブルバスター」(ラジオ日本)パーソナリティ。主な経歴として建設業界30年、建物診断約7,000棟以上、施工実績約4,000棟、セミナー・相談会等の講演や研修等実績300回以上。
市民住まい向上委員会とは「防犯・防災・住宅性能の向上等を一般市民に対し普及、支援活動を行う」事を目的として活動する非営利団体で、安全で安心して暮らせるような住まいの実現を目指し、啓発活動やセミナー講演、イベントなどを行うだけでなく、相談会・メール相談・面談なども行っております。

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