耐久性が高くメンテナンスが不要な『和瓦(陶器瓦)』

耐久性が極めて高い屋根材

和瓦とは、陶器瓦の中でも和風住宅にマッチするもののことです。他にも日本瓦、和形瓦、J形瓦などと呼ばれることもあります。セメント製のものは和瓦とは呼ばれず、セメント瓦と呼ばれます。
一般的には、和瓦は重量がネックであると言われます。平均で約45kg/㎡の重量があると言われ、これは他の屋根材より2倍から9倍の重さ。屋根が重いと建物の重心が高くなるので、耐震性では劣ります。ただし、土葺きの屋根では土で瓦を接着しているだけで、大地震が起きると瓦は簡単に落下していました。

これは、建物を軽くして倒壊から防ぐ先人の知恵だったのです。しかし、阪神大震災以降は建築基準法が変わり、引っ掛け桟瓦葺き工法によって瓦は落ちなくなりました。
和瓦のもう一つの特徴は勾配がきついことです。勾配がきついと雨がすぐに落ちるので、雨漏り予防にもなります。建築基準法では和瓦の最低勾配は4/10以上と定められています。ただし、勾配がきついと施工費用が高くなります。
和瓦は陶器ですから耐久性が高く、耐久年数は100年とも言われています。ひび・割れが出ない限り、メンテナンス不要の優れた建材なのです(ただし、漆喰などのメンテナンスは必要)。

和瓦には釉薬が塗られているものが多く、塗装を必要としません。釉薬がない和瓦はその風合いを楽しむように設計されています。

日本最大の生産量を誇る三州瓦

和瓦の種類には桟瓦や軒瓦、鬼瓦など多彩なバリエーションがありますが、製法から分類すると釉薬瓦、いぶし瓦、無釉薬瓦、塩焼瓦などに分かれます(三州瓦を紹介する「瓦Web」より)。
先に触れた釉薬瓦は陶器瓦と同一視されることもあります。粘土を成形して乾燥させ、ガラス質の釉薬を表面に塗って焼いたものが釉薬瓦です。

いぶし瓦は無釉薬瓦と同一視されることもありますが、細かく分類すると焼成の最終段階で瓦をいぶし(空気を遮断し)、表面に炭素を主成分とする皮膜を作るのがいぶし瓦。釉薬を使わず、生地に粘土以外の物質を混ぜたり、窯の中の環境を変えながら焼いて自然な色を追求したもの(窯変瓦)などが無釉薬瓦と呼ばれます。
塩焼瓦は焼成の途中で食塩を投入することにより表面を独特の赤褐色に仕上げる瓦のことで、日本三大瓦の一つである三州瓦独特のものとされています。

ちなみに日本三大瓦とは石州瓦・淡路瓦・三州瓦のことで、三州瓦は日本最大の生産量を誇っています。

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[コラム著者]矢野克己
矢野克己
一般社団法人市民住まい向上委員会代表理事、「住まいのトラブルバスター」(ラジオ日本)パーソナリティ。主な経歴として建設業界30年、建物診断約7,000棟以上、施工実績約4,000棟、セミナー・相談会等の講演や研修等実績300回以上。
市民住まい向上委員会とは「防犯・防災・住宅性能の向上等を一般市民に対し普及、支援活動を行う」事を目的として活動する非営利団体で、安全で安心して暮らせるような住まいの実現を目指し、啓発活動やセミナー講演、イベントなどを行うだけでなく、相談会・メール相談・面談なども行っております。

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