住宅診断(インスペクション)を実際に行った実例

特殊器具を使って徹底診断!

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住居の玄関とベランダの内側に黒ずみが出ているという相談を受けました。そこで築11年のお宅に直接お邪魔して、診断を行うことになりました。
まず外壁を見ると、モルタル中心の造りになっていました。大変きれいな住宅で、外壁のひびはベランダの角に小さなものがあるだけでした。しかし、防水性が保たれているのかどうかは別の話なので、油断は禁物です。

モルタルは現場で職人さんがコテで塗り付けて完成させるものです。そのため出来上がりは職人さんの腕に左右されます。水の調合の仕方が悪いと、5~10年経って不具合が出ることもあります。

私達が診断で使う機材は、まずビデオカメラです。雨漏りなどの不具合がないか録画してDVDにまとめてお渡ししています。それから霧吹き。外壁や屋根に水をかけて、どれぐらい水を吸収するか確認するために使用します。温度計も使います。屋根には遮熱塗料が使われていることも多いので、表面温度を測ります。あと、金属探知機も使います。壁の中に鉄筋が入っているか確認する時などに使います。

診断の結果、黒ずみ意外にも様々な問題が浮かび上がってきました。スレート瓦には4枚のひび割れが見つかりました。放置しておくと冬に水が染み込んで凍り、ひび割れが広がります。症状が進むと葺き替えになりますので、その前に防水性を保てるように塗装し直すなどした方が良いでしょう。

一般の方の場合は汚れているか、壊れているかで住宅の状態を判断しがちですが、住宅の問題は見てすぐにわかるものばかりではありません。例えばこのお宅では、玄関周りに黒ずみが見られるということでコケなどを疑っていましたが、実際に調べてみたら自動車の排気ガスの汚れで、建物は傷んでいませんでした。逆にベランダの黒ずみはやはりコケが原因で、水が入っているので早めに手を打たねばなりませんでしたが、まずは直接雨が当たる屋根の修理から片付けるのが良いでしょう。

リフォームは切羽詰まってから行うより、きちんと早めに計画を立ててから行った方が効果的ですし、費用もかかりません。プロに診てもらえば早期発見ができるだけでなく、どういった順番で直したら良いかということもわかります。

☆☆バスター矢野のワンポイントアドバイス☆☆

リフォーム業界では、勝手解釈・自己基準で工事を行う人が増えているので、クレームも増加しています。良かれと思って外壁を塗装したら、間違った塗料を塗ってしまって剥がさなければならなくなったりします。シーリング材なども同様です。安易にご自分で工事せず、プロにお願いするかしっかりアドバイスを受けて施工することをお勧めします。

なお、市民住まい向上委員会では、見積もりや施工等は行っておりません。アドバイス・相談を中心に消費者の皆さんが適正なリフォームを受けられる手助けをしております。

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[コラム著者]矢野克己
矢野克己
一般社団法人市民住まい向上委員会代表理事、「住まいのトラブルバスター」(ラジオ日本)パーソナリティ。主な経歴として建設業界30年、建物診断約7,000棟以上、施工実績約4,000棟、セミナー・相談会等の講演や研修等実績300回以上。
市民住まい向上委員会とは「防犯・防災・住宅性能の向上等を一般市民に対し普及、支援活動を行う」事を目的として活動する非営利団体で、安全で安心して暮らせるような住まいの実現を目指し、啓発活動やセミナー講演、イベントなどを行うだけでなく、相談会・メール相談・面談なども行っております。

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