住宅診断(インスペクション)をスムーズに進めるコツ

住まいのご相談は写真持参で!

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家の状況を写真に撮っておいていただけると、現地を訪れなくてもある程度の診断ができる場合があります。番組ではパーソナリティーを務める斉藤リョーツさんのお宅を写真診断したことがありました。物件は築19年の建売住宅です。

まず、2階の窓枠のコーナーに隙間ができて、周囲が茶色く変色していました。これはおそらく、窓で発生した結露が木部に染み込んで変形してできた隙間ではないかと思われます。こうなるとサッシの閉まり具合も悪くなりますし、腐食も広がってしまいます。防止策としては、結露が出ないようにホームセンターなどで売っている結露防止剤や湿気を吸うものを置いておくこと。小まめに窓を拭いていただくのも有効です。完全に直したい場合は二重サッシやペアガラスを取り付けましょう。

天窓周りの壁紙もゴワゴワになっていました。雨が漏ることはなかったそうなので、おそらく結露が原因だと思われます。天窓は必ずガラスがペアになっていて結露しにくくなっているのですが、屋根付近は暖かい空気が溜まりますので、外気温との差で結露することがあります。天窓は材木だけではなく、アルミや樹脂系の枠材もありますので、取り替えてみると良いでしょう。もしくは内側にもう1つサッシを組み込む。中の断熱材にカビが生えている場合もあるので、早めに対処しましょう。

部屋の中の壁に入ったひび(クラック)に関しては問題ないと診断しました。下地のボードのジョイント部分に入ったひびだったからです。木造住宅は揺れると弱い部分にひびが入ることがあります。ただし、外壁にひびが入っている場合は水が浸入してくることがあるので、注意が必要です。他にも室内の開口部にひびが出る場合がありますが、これも基本的に問題ありません。

ベランダの手摺の根本部分が傷んでいる場合は要注意です。手摺の根本からは水が入りやすく、内部の木材が腐ることがあります。早急にシーリング材などで隙間を埋め、外壁のひび割れもチェックするべきです。等間隔でひびが入っている場合は材木がかなり傷んでいる場合があります。木造住宅は芯材として45cmごとに木材が配置されているので、水が影響して芯材が歪んだり膨らんだりすると等間隔にひびが出ることがあるのです。

サイディング外壁のジョイント部分が傷み、浮いてきた場合はサイディングが反っています。サイディング内部に水が入ると、内部は塗装されていないので、伸縮率が異なります。塗装された外部は伸縮率が小さいので、外側に反ってしまうのです。早めに処置をしないと釘などで留めることができなくなり、貼り替えになります。貼り替えの際に同じ外壁材がないと、外壁がつぎはぎになってしまうことがあります。水の浸入経路を特定することも必要です。早期発見すれば、シーリングの打ち替えだけで済む場合もあります。工事が必要になれば大工さんを呼ばなければなりません。

☆☆バスター矢野のワンポイントアドバイス☆☆

大きな地震があると、配管が外れたりして水漏れを起こすことがあります。気づかないまま放置しておくと、大変な水道料金を請求されることも。大地震があったらすぐにメーターを見るように習慣付けましょう。メーターを確認する時は、①バルブ、元栓を閉める。水道の蛇口も全て閉める。②10分ほど経ったらバルブを開く。その時、パイロットと呼ばれる赤い円盤がクルッと回れば水漏れをしている恐れがあるので、すぐに専門業者に診てもらいましょう。水道は道路から引き込むので、メーターは道路に近い家の敷地内にあるはずです。

市民住まい向上委員会が推奨する住宅チェックポイント

屋根裏の水漏れチェック
床下の水漏れ・虫害チェック
室内のカビ・雨染みチェック
基礎のひびチェック(0.3mmを超えるものがあるか)
外壁の隙間チェック
建具周りのチェック(家の傾き検査)
扉の開閉チェック
床・フローリング等のきしみチェック
水道メーターのチェック(漏水チェック)
ベランダ笠木・手摺の付け根チェック
ドレン周りのチェック
雨樋の変色・割れ・勾配チェック
庇の有無チェック(ないと外壁が早く傷む)

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[コラム著者]矢野克己
矢野克己
一般社団法人市民住まい向上委員会代表理事、「住まいのトラブルバスター」(ラジオ日本)パーソナリティ。主な経歴として建設業界30年、建物診断約7,000棟以上、施工実績約4,000棟、セミナー・相談会等の講演や研修等実績300回以上。
市民住まい向上委員会とは「防犯・防災・住宅性能の向上等を一般市民に対し普及、支援活動を行う」事を目的として活動する非営利団体で、安全で安心して暮らせるような住まいの実現を目指し、啓発活動やセミナー講演、イベントなどを行うだけでなく、相談会・メール相談・面談なども行っております。

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