ベランダからの雨漏りには要注意!

ひび割れを放置するとコンクリートが“爆裂”する!?

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「中古マンションで先日リフォームが終わり、内装や外装は綺麗になりました。しかし、ベランダの排水口は少し錆びていて、床には少しひびが入ったままです。マンションそのものには問題ないのでしょうか?」という質問がありました。

ベランダの防水には、露出防水と保護防水の2種類があります。ベランダにひびが入ったということは、おそらくモルタルを打った保護防水でしょう。ひびが入ると水が浸入して防水層を傷めます。放っておくと雨漏りの原因になりますし、マンションなら躯体のコンクリートまで傷めてしまいます。

鉄筋コンクリートのうち、コンクリートはアルカリ性です。鉄筋が酸化して錆びないようにコンクリートを用いるわけです。ところが水が浸透して鉄筋に到達すれば、やはり錆びてしまいます。そして錆びた鉄筋は体積が増えますので、やがてコンクリートが割れる。これを専門用語で“爆裂”と呼びます。

ひび割れが入っている場合はもう一度防水処理をする時期が来ているということなので、専門家に診てもらうと良いでしょう。
大きなマンションでは修繕計画に基づいて修繕するので、ベランダがリフォームに含まれていなければ別の機会に行うのだと思います。管理組合で確認してみましょう。

なお、排水口が錆びていると汚れが引っかかりやすくなりますし、排水口から雨漏りをする事例も結構ありますので、塗装し直すなどの対処をした方が良いでしょう。

戸建住宅の場合、ベランダは雨漏りの原因になりやすい箇所ですので、やはり注意が必要です。
戸建住宅には2種類のベランダがあります。建物と一体化しているベランダと、単体で独立しているベランダです。家の構造体から延長しているタイプのベランダに水が浸入すると構造躯体が腐ることがあります。ベランダの下に部屋がある場合は雨漏りする場合もあります。

ここではベランダのチェックポイントをいくつか挙げておきます。
まずは床面です。先ほど述べたように、ひび割れなどがあれば要注意です。
それから笠木の部分。つなぎ目から水が浸入する場合があります。
FRP防水が用いられている場合は、サッシと床面の立ち上がり部分に隙間ができていないか確認してみてください。
ベランダ下の天井部分に染みがある場合は明らかに雨水が漏っていることになります。特に茶色い水が染みている場合は要注意です。茶色い水は木が腐っている証拠。内部ではすでに腐食が進んでいます。

なお、ベランダを物置にするとベランダの状態がわからなくなります。あまり物を置き過ぎない方が良いでしょう。

☆☆バスター矢野のワンポイントアドバイス☆☆

ベランダに鉢植えを置く人がいますが、建物を長持ちさせる観点からすると好ましくありません。鉢植えには水を撒きますので、周囲が常に濡れた状態になります。水・紫外線・空気に触れると防水層の効果は次第に薄れていきます。

また、水を撒くと泥が跳ねて側溝に流れ込むこともあります。掃除をしないと排水口が詰まり、雨が降った時にプール状態になったり、雨漏りの原因になります。人工芝を設置している場合も、めくると土が溜まっていることがあります。水が綺麗に流れるように側溝や排水口はまめにチェックしましょう。

どうしても鉢植えを置きたい場合は接地面積の少ない台を使用するなど、水が流れやすくなるような工夫をしてください。

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[コラム著者]矢野克己
矢野克己
一般社団法人市民住まい向上委員会代表理事、「住まいのトラブルバスター」(ラジオ日本)パーソナリティ。主な経歴として建設業界30年、建物診断約7,000棟以上、施工実績約4,000棟、セミナー・相談会等の講演や研修等実績300回以上。
市民住まい向上委員会とは「防犯・防災・住宅性能の向上等を一般市民に対し普及、支援活動を行う」事を目的として活動する非営利団体で、安全で安心して暮らせるような住まいの実現を目指し、啓発活動やセミナー講演、イベントなどを行うだけでなく、相談会・メール相談・面談なども行っております。

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