雨漏り修理はなぜ難しいのか

原因が一つとは限らない!

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雨漏りが起こったので業者を呼んだ。業者は「ここが雨漏りの原因ですね」と言って修理をしてくれた。ところが次に雨が降ったら、別の所から雨漏りが始まった。ひょっとして、この業者は不良業者だったのでしょうか? 一度で確実に雨漏りを直す方法はないのでしょうか――こんな相談を受けたことがあります。

実は、雨漏りは“複合型”で起こることが多く、原因が一箇所ではない場合もあるのです。一箇所の原因を突き止めたからと言って、雨漏りが止まるとは限りません。
私も原因を特定するために半年ほど通っているお宅があります。このお宅では、建てた建設会社が調査に来たのですが、原因が見つけられなくて匙を投げてしまったのです。それほど雨漏りがひどいお宅です。

私は知り合いの業者さんと一緒に家を徹底的に調べ始めました。最初は床面から調べて行き、サッシのシーリングに不具合を見つけました。そこを直して様子を見ましたが、次に雨が降るとやはり漏る。それで散水試験を行って水が漏る所を埋めたのですが、また別の所が漏るのです。

雨漏りを調べる時は、下から順に調べていきます。上から一度に散水しても、複数箇所から雨漏りしている場合は原因が特定できないからです。

雨漏り修理にかかる時間はケースバイケースです。長い場合は1年ぐらいかかることもあると思います。雨が降るのを待たなければならないことがあるので、どうしても時間がかかります。

その相談者のお宅では、下から順に調べてサッシまでは完全に水を止めました。さらに上を見ると、ゴムパッキンの付いていない照明がある。散水試験を行うと水が漏れてきたので、ここも修繕しました。2階のベランダから浸水していることも突き止めましたが、今でも他の箇所から雨漏りが起きています。地道に解決していく以外に方法はありません。

今お話ししたのは建設会社が見放してしまった特殊なケースですが、実際には雨漏り修理の技術は進歩しています。

最近では、ブラックライトに反応する液体を使い、雨漏りの疑いがある箇所に注入する方法があります。もし、漏ってきた水がブラックライトに反応すれば、雨漏りの経路を特定することができるわけです。

ファイバースコープを使えば、人が入っていけない所も確認することができます。

雨漏りの原因を特定するのは難しいのですが、雨漏りが起こりやすい場所はあります。水回りは水漏れと合わせて注意しましょう。お風呂場の基礎に水が漏ると染みが出たり、エフロレッセンス(コンクリートやモルタルに浮き出る白い生成物。白華現象)が発生したりします。症状がひどければユニットバス(壁と浴槽などを一体成形したもの)に換えるのも手です。

雨漏りに限らず、水漏れが厄介なのは、一度水の通る経路ができてしまうと、どこから浸入してきているのかわからないケースがあることです。雨漏りに対して先入観を持つと原因にたどり着けません。日頃からよく点検をしておき、どんな雨の時にどんな症状が出るのか調べておくと、雨漏り業者の助けにもなります。

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[コラム著者]矢野克己
矢野克己
一般社団法人市民住まい向上委員会代表理事、「住まいのトラブルバスター」(ラジオ日本)パーソナリティ。主な経歴として建設業界30年、建物診断約7,000棟以上、施工実績約4,000棟、セミナー・相談会等の講演や研修等実績300回以上。
市民住まい向上委員会とは「防犯・防災・住宅性能の向上等を一般市民に対し普及、支援活動を行う」事を目的として活動する非営利団体で、安全で安心して暮らせるような住まいの実現を目指し、啓発活動やセミナー講演、イベントなどを行うだけでなく、相談会・メール相談・面談なども行っております。

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