外壁の適切な塗り替え時期を知る方法

まずは壁を触ってみよう

チョーキング現象

今回は「外壁の塗り替え時期がわからない」という問い合わせについてお答えします。
まず外壁の塗り替え時期を判断するには、外壁を直接触ってみることです。これはチョーキング検査と呼ばれる手法で、手に白い粉がつくと防水効果が切れたというサインだと判断できます。

塗料は樹脂と顔料の組み合わせでできています。塗料に水、空気、紫外線といったものが接触し続けると、塗料は分解されて劣化する。つまり、傷んでいくのです。そして樹脂と顔料の結合が解かれると、顔料が白い粉となって手に付くようになります。

壁材にはいくつか種類がありますが、まずはサイディングを例に取ってみましょう。サイディングの主材は80%がセメントです。残りの20%には増量剤(木片チップなど)を混入して圧縮成形されています。セメントは水を吸いますね。雨が降った次の日に晴れると、塗装の防水が切れて水を吸ったサイディングは変形を起こすことがあります。濡れた革靴を日干しした時を想像するとわかりやすいでしょう。

サイディングの外壁面は塗装してありますが、内壁面は塗装していません。したがって外壁面と内壁面では伸縮率が違うのです。外壁面は膨張しにくいので、外側に反りが進んでいく。最終的には割れてしまいます。

もっとも、サイディングの変形は肉眼では確認しづらい場合もあります。その場合はサイディングの隙間の目地部分に定規を当ててみて、隙間ができるようであれば確実に変形しています。

「築○年過ぎたから塗り替え」では遅い!?

築10年が過ぎても外壁が綺麗な家はたくさんあります。その場合は塗り替えるか迷うかも知れませんが、チョーキング検査で白い粉が出たら塗り替えを検討しましょう。

サイディング以外に外壁でよく用いられる材質がモルタルです。リシン吹き、スタッコ、掻き落とし仕上げなどにはたいていモルタルが用いられています。モルタルは水、砂、セメントを混ぜて左官屋さんという職人さんが塗って仕上げますが、地震などが起こるとひび割れが生じることがあります。するとひび割れから水が浸入するわけです。水が浸入してもすぐに雨漏りしたりはしませんが、下に敷かれた金属製のラス網が錆びるので、モルタルが浮き上がったりするようになります。ひび割れには用心しておきましょう。

再塗装のタイミングは使われている塗料で変わることもあります。現在、住居に最もよく使われる塗料はアクリルリシンですが、耐用年数は3〜4年と言われています。最近登場したソフトリシンだと4〜6年。これは促進耐候性試験という塗料の持久力を確かめる実験に基づき発表されている年数ですが、一般的に言われている「塗り替え10年」という期間と比べるとかなり短い数字ですよね。

ただし、耐用年数を過ぎたらいきなり防水性がゼロになるわけではありません。それから防水性が次第に落ちていくので、だいたい10年ぐらい経ったら塗り替えた方がいいですよ、ということです。基本的には、耐用年数を過ぎたら塗り替えを考えた方が良いでしょう。リシンなら5〜6年ぐらいで塗り替えるのが理想的。逆にフッ素塗料や光触媒塗料は耐用年数が15〜20年ありますので、塗り替えまで余裕を見ていただいて大丈夫です。

このように塗料によっても塗り替えに最適な時期は変わってくるので、迷ったら専門業者に相談してみるのも有効な手段です。もちろん、市民住まい向上委員会でも相談を受け付けています。

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[コラム著者]矢野克己
矢野克己
一般社団法人市民住まい向上委員会代表理事、「住まいのトラブルバスター」(ラジオ日本)パーソナリティ。主な経歴として建設業界30年、建物診断約7,000棟以上、施工実績約4,000棟、セミナー・相談会等の講演や研修等実績300回以上。
市民住まい向上委員会とは「防犯・防災・住宅性能の向上等を一般市民に対し普及、支援活動を行う」事を目的として活動する非営利団体で、安全で安心して暮らせるような住まいの実現を目指し、啓発活動やセミナー講演、イベントなどを行うだけでなく、相談会・メール相談・面談なども行っております。

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