斉藤リョーツさん宅の建物診断で明らかになった自己補修の問題

自己流で修繕する前に相談を!

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写真はイメージです

番組では以前にパーソナリティーを務める斉藤リョーツさんのお宅を写真診断したことがありましたが、今回は直接お邪魔して徹底的な診断を行いました。

斉藤さんのお宅は在来工法の3階建て、築19年でした。まずは外から、建物の外観をチェックしました。斉藤さんのお宅の屋根はガルバリウム鋼板でできており、塗装が要らないタイプです。しかし、外壁はベランダ側面と日がよく当たる3階部分で色が変わっており、退色が起こっているようでした。
屋根に上がってみると、ガルバリウム鋼板に錆もなく、雨樋も詰まっていませんでした。屋根に関しては問題なしです。

しかし、外壁には問題が出ていました。以前に斉藤さんが自分で目地を補修した部分があったのですが、その下部には外壁の浮きが見られました。隙間ができてしまい、下地のグラスウールまで見えていたので、かなり水が浸入していたと考えられます。パネルが反っていたので、交換するしかない状態でした。また、DIYで補修した際に用いた充填剤も適切なものではなかったようです。

シーリングは幅が8mm、奥行きが4mm以上ないといけません。しかも目地底と側面2面を接着してしまうとシーリング材が縮んだ時に切れてしまうことがあります(3面接着)。目地にはバックアップ材やボンドブレーカーを用いて目地底を接着しない施工が必要です(2面接着)。DIYの場合もきちんと工程を守らないと、結局シーリングをやり直すことになります。

外壁をDIYで塗り替えたら適切でない塗料を塗ってしまい、すぐに剥がれてしまう場合もあります。また、水性塗料が余るといずれ腐るので、使い切ろうとして外壁を思い切り厚く塗る方もいらっしゃいます。塗料は厚く塗りすぎるとひび割れを起こします。ひび割れた塗料は削らないと塗り直すこともできません。

外壁で一番問題なのは雨が浸入することです。外壁の内部にはグラスウールなどの綿のような材質が用いられているのですが、水が浸入するとここに湿気が残留してカビが生えたり、熱伝導率も上がることがあります。熱伝導率が上がると夏は暑く冬は寒い家になってしまいます。もちろん、木材も湿気で腐ります。

反った外壁は手で押して戻るようならビスなどで留めれば良いのですが、大きく反った外壁を無理に戻そうとすると割れてしまいます。その場合は交換するしかありません。

プロに住宅を診断してもらえば、何が問題なのか、放っておくとどうなるのかがわかります。漠然と不安を抱えているよりも、診断をしてどのように行動すべきかがわかった方が精神的にも前向きになれると思います。

☆☆バスター矢野のワンポイントアドバイス☆☆

雨が漏ると一口に言っても、様々なパターンがあります。風雨が強い時に漏れる雨漏り、通常の雨が漏る雨漏り等々。パターンによって対処の仕方が違ってきます。さらに、雨漏りの原因はなかなか見つからないこともあります。しかし、雨漏りをする家は家の機能を果たしておらず、建物の傷みも速いものです。雨漏りがしている場合は、最優先で直すべきだと肝に銘じましょう。

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[コラム著者]矢野克己
矢野克己
一般社団法人市民住まい向上委員会代表理事、「住まいのトラブルバスター」(ラジオ日本)パーソナリティ。主な経歴として建設業界30年、建物診断約7,000棟以上、施工実績約4,000棟、セミナー・相談会等の講演や研修等実績300回以上。
市民住まい向上委員会とは「防犯・防災・住宅性能の向上等を一般市民に対し普及、支援活動を行う」事を目的として活動する非営利団体で、安全で安心して暮らせるような住まいの実現を目指し、啓発活動やセミナー講演、イベントなどを行うだけでなく、相談会・メール相談・面談なども行っております。

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