外壁塗装におけるCAD図面と施工業者選び

正確なデータがあれば業者選定も楽になる

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前回は「業者によって外壁塗装の見積もりが異なる理由」について解説しました。業者によって計算方法が異なるので、見積金額も異なるのです。
こうなってくるといかにも混乱しそうですが、本当の外壁面積は一つです。自分の家の面積を知っておけば、何の問題もありません。例えば外壁面積が100㎡だとわかっている場合、業者が80㎡、100㎡、120㎡の見積もりを出してきたらどうするか。当然、最も信頼できるのは100㎡で見積もってきた業者。120㎡の業者には測る技術力がありません。20㎡多いので、金額も高くなります。「塗装で手を抜かれると大変だから高いところに頼もう」という方もおられますが、正確な外壁面積を知っていればこの業者ではダメだということがわかります。

では、80㎡の業者はどうか。金額的には、一番安い業者でしょう。しかし、実際の面積は100㎡。塗料には基準塗布量があり、100㎡の外壁を80㎡分の塗料で塗るということは、薄く伸ばして塗るということです。つまり、不良施工になる可能性が高くなる。やはり、計算の技術力があり、塗布量も守ってくれる100㎡で計算してきた業者が最も頼りになると言えるでしょう。

では、正確な外壁面積を知るにはどうしたら良いか。最近では、積算データ表によって各部分の数量などを800項目くらいにわたって細かく算出してくれる「CADシステム」というものがあります。当然、屋根や外壁の面積もわかりますし、付帯部分についても細かくわかります。まずはCADデータを準備し、それからリフォームの計画を進めると良いでしょう。そうしないと、例え1000社から見積もりを取っても正確な見積もりがわからないことになります。

「営業マンの印象が良かったので」という理由で業者を決める方もたくさんいます。しかし、営業マンは塗装はしません。やはり塗装は技術が大切です。システムキッチンやユニットバスなどは現物確認ができます。しかし、塗料は塗って初めて価値が決まります。塗る人間の技術力にも注意しておかないと失敗してしまうのです。塗装の技術に関してはまた項を改めてご紹介します。

家の図面と実際の施工が異なる場合もあるので、CAD図面を作成する場合は現地調査も行います。そうやってCAD図面を作成して、それから業者を選ぶ。これが最も間違いがない手順です。

CADデータがあれば、今後のリフォームがしやすくなります。「棟が飛んでしまった」「樋が壊れた」という時も、長さなどの数値がわかっているので見積もりチェックが容易にできるのです。「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」(かれをしりおのれをしればひゃくせんあやうからず)。自分の家のデータを知れば、100回塗装業者選びをしたとしても間違うことはありません。

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[コラム著者]矢野克己
矢野克己
一般社団法人市民住まい向上委員会代表理事、「住まいのトラブルバスター」(ラジオ日本)パーソナリティ。主な経歴として建設業界30年、建物診断約7,000棟以上、施工実績約4,000棟、セミナー・相談会等の講演や研修等実績300回以上。
市民住まい向上委員会とは「防犯・防災・住宅性能の向上等を一般市民に対し普及、支援活動を行う」事を目的として活動する非営利団体で、安全で安心して暮らせるような住まいの実現を目指し、啓発活動やセミナー講演、イベントなどを行うだけでなく、相談会・メール相談・面談なども行っております。

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